ロシア製のLマウント広角レンズ、PYCCAP(Russar) 20mm F5.6 + GXR Mount A12 の作例記事（レビュー）です。
製造番号は N06108。 76年の製造という説や、2006年の製造という説などがありますが、正確なところははっきりとしません。
対称型のレンズ構成なので、後玉は結構長いのですが、カメラに付けるとまるでパンケーキ・レンズのよう。
ちなみに、ロシアレンズと言うと「あー何かのコピーね」と思いがちですが、ルサールに関しては自身がオリジナルのレンズ構成なんだそうです。
ルサールは、ロシアレンズらしく個体差が大きいという情報をよく見かけます。そのため、このレビューが全ての固体において通じるかは分かりません。
本記事の作例は、特に断りが無ければ、以下の設定で撮影しています。Lightroom3 で現像。
- ISOとホワイトバランスはAuto
- 絞りはF8で、ピントは無限遠に合わせて、パンフォーカス状態にして撮影しています
- 色シェーディング補正はRを+4
- 周辺光量補正は-1
作例
ルサールは、とにかくフレアっぽいです。半逆光程度でもフレアが出ます。
しかし、描写はしっとりとしていて、フレアっぽさと合わさると、これはこれで不思議な雰囲気になります。
特に、古い建物を撮ると、しっとり＋ふわっとして雰囲気が出ます。
古い建物以外でも、人工的な色彩の人工物を撮ると、全体的なフレアっぽさとしっとりめの色で、なんとも言えない幻想的な写りになります。
ルサールがフレアでふわっとさせていて、GXRの色使いがしっとりとさせている感じ？
対称型レンズの特徴として、広角レンズでも歪みが少ない、というものがあるそうです。画角は広くても、自然な描写が得られます。
レンジファインダー用のレンズですが最短撮影距離は 50cm と短めなので、テーブルフォトも何とかいけます。
深い被写界深度から、ピントが全体的に合いすぎてフォーカスアシストでは調整しづらいので、拡大表示を使用すると良いでしょう。
ねこ（ちょっと休憩）。
「フレアぽい」と散々書きましたが、フードを付けると多少の改善が可能です。
ピントリングの幅が狭く、また筐体がテーパーしているので、カブセ式の物は取り付けしづらいでしょう。フィルター枠が 49mm なので、ねじ込み式の物を探すと良いと思います。あと、ピントリングを回すとフードも回るので、丸型が良いです。
これを含むここから先の8枚の作例では、49mm → 52mm のステップアップリングを使用して、ニコンの NH-1 を付けて撮影しています。
フードを使うことで、彩度が多少向上しているように見えます。
フード使用でフレアが抑えられ、かなり写りが鮮明になっています。
「対称型レンズなので歪みが少ない」と書きましたが、35mm 換算で 30mm の焦点距離から来る画角で、広角っぽい撮り方も楽しめます。
上が露出 -1 で、下が +1 です。
ルサールは、基本的には暗めに撮ると良いレンズかと思っています。明るめに撮ると、フレアが強調されてコントラストが低下しすぎるかなと（最終的には好みですが）。
F5.6からと暗めのF値ですが、夜間撮影も結構いけます。露出をガツンと落としてシャッタースピードを稼いで、EVFを使用して三点保持をしています。
APS-Cのセンサーなのもあって、ノイズも少なめです。
ネオンで起こりがちな滲みは、多少現れます。
手すりに肘を置いて撮影。
青かぶりについて
これは、色シェーディング補正無し、周辺光量補正無しの作例です。周辺に若干の青かぶりが発生していることが見て取れます。GXRはセンサーの工夫で広角レンズの色かぶりを抑えていますが、ルサールでは状況によって多少発生するようです。
色シェーディング補正の設定は、B を引くよりも R を足した方が効果が高い印象でした。
まとめ
まず、「GXR Mount A12 で使える 21mm クラスのオールドレンズ」として考えると、相場がとても安いことが挙げられます（※記事執筆時）。スーパーアンギュロン・ビオゴン・GRレンズ21mmなどは、どれも倍以上の価格なので。
また、スーパーアンギュロンなどは 21mm ですが、ルサールは 20mm なので、より広角に撮れることもアドバンテージと言えます。
写りはフレアっぽさが目立ちますが、フードを使用したり光の状態を考慮することで、多少の対応が可能です。また、「ハマるとグッとくる」傾向も見られます。
GXR Mount A12 を使っていて広角レンズを探している方は、値上がる前に確保しておくと良いのではないでしょうか。
ルサール 20mm F5.6 の購入について
現在は中古しか無いようです。玉数は多いとは言えないので、こまめな店頭・オークションチェックが必要でしょう。
価格は3万円台後半〜 なようですが、スーパーアンギュロンやビオゴンが GXR Mount A12 の影響で値上がり傾向にあると聞くため、ルサールも同様かもしれません。
個体差が大きいレンズと評判なので、店頭でのチェックはデジカメを使用して実写で行うと良いかと思います。僕はノートPCも持ち込んで、大きい画面でチェックしました。
キャップが失われているものが多いです。市販されている 49mm のスプリング式キャップが使えますが、フィルター枠の外側にピントリングが飛び出しているので、キャップのツマミが外に出ていると付けづらくなっています。また同じ理由から、カブセ式キャップはサイズが不明です。
純正のフードは存在しないようです。
