Summilux-M 35mm F1.4 ASPH. (11874) を買いました。 2016 年現在で現行(11663)の一つ前のモデルです。
11663 が 2010 年発売で 11874 は 1990 年の発売です。何気に 26 年も前のレンズなんですねえ。

そんなルクス11874 ですが、Twitter で汎猫さんから、このモデルはフォーカスシフトがある事を教えて貰いました

上記リプライでは平静を装っているように見えなくもない僕ですが、Summilux 35mm F1.4 の価格的に心中穏やかざる状態だったのは疑いようもなく、心臓は早鐘のように鳴り響き、背中には冷たい汗が流れ、今にも胃の中の物が喉元までせり上がってこようとしていました。

いや実際はそこまでじゃなかったですけど、フォーカスシフトするならするで、どれくらいシフトするかを知っておく必要があるなーと思ったので、調べてみる事にしました。

※以下の内容につきまして、間違い等あった場合には、コメントや Twitter でご教示頂けると嬉しいです。

フォーカスシフトとは

そもそも、フォーカスシフトとは何でしょうか。 カメラマン Web によると、次のような解説がされています。

ピントを合わせたあとに、絞り値を変えると、ピント位置がズレてしまうことがあるが、これが焦点移動のひとつである。原因は球面収差があることだ。また、ズームレンズでも、いったんピントを合わせて、焦点距離を変えるとピント位置がズレてしまうのも焦点移動と呼ぶ。これも収差が変動するためである。

早わかり用語辞典 : 一般写真用語 : さ行 : 焦点移動 - カメラマンWeb

球面収差が原因で起きる現象のようです。
また、海外のサイト Photography Life では、絞りを絞った際に起きるフォーカスシフトを図で解説していました。 以下に引用します。

絞りを絞る事で入射角度が制限され、最適なフォーカスポイントが奥にズレる

What is Focus Shift?

緑の縦線(ベスト・フォーカス・ポイント)が、絞りを絞る事で右側(後ろ側)に移動している事が分かります。

球面収差とは

フォーカスシフトの原因となる球面収差に関しては、こちらのページが解りやすかったです。 第16回 :レンズの大敵を探る 〜収差 2〜 デジカメの「しくみ」
この収差がひどいと、いわゆる「どこにもピントが来ない」という状態になるようです。

また、球面収差は、全てのケースにおいて単純に補正しまくれば良い訳でも無いらしく、ボケ味にも関わってくる物らしいです。

ボケ味をきれいにしたい場合、通常は球面収差をあえて残し、解像性能はやや下げる方向で設計する場合が多いのですが、

インタビュー:パナソニックに聞く「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2」のこだわり - デジカメ Watch Watch

現行の 11663 が、レンズ構成はそのままにフローティング機構(floating elements / FLE)でフォーカスシフトを解決しているのは、ボケ味はそのままにしたかった事も理由の一つかもしれませんね(想像)。
※フローティング機構に関しては、こちらが解りやすかったです。 ・フローティング機構とは: 虹色の旋律

絞ると減少するが、球面収差が大きい場合、絞りにより焦点が移動することがある

球面収差 - Wikipedia

Summilux 35mm F1.4 ASPH. (11874) のケースはこれと思われます。

実写テスト

Datacolor Spyder LensCalを使って、以下の条件でテストしてみました。

  • 撮影距離は 2m / 1.2m / 0.7m の 3 種類
  • 絞り値は F1.4 / F4 / F8 の 3 種類
  • 屋内での撮影
  • ボディは Leica M9
  • LensCal、ボディ共に三脚で固定
  • ホワイトバランスはオート、露出は絞り優先オート
  • 撮影後、Lightroom でホワイトバランスと露出を自動補正しています

以下の写真は全て等倍でクロップしています。 クリックで画像ファイルを直接開きます。

撮影距離 2m

F1.4

F4

F8

  • 2m も離れると、どの絞り値でも全く気になりません。これ以遠の距離では、フォーカスシフト対策は考えなくて良いでしょう

撮影距離 1.2m

F1.4

F4

F8

  • F1.4 では、手前側 1 の線のコントラストが高く、前ピンです
  • F4 では、奥側 2 の線のコントラストが高く、後ピンです
  • F8 では、0 または手前側 1 の線のコントラストが高く、ほぼ正常〜やや前ピンに見えます

撮影距離 0.7m

F1.4

F4

F8

  • F1.4 では、0 の線のコントラストが高く、正常です
  • F4 では、奥側 2 の線のコントラストが高く、後ピンです
  • F8 では、奥側 2 の線のコントラストが高く、後ピンです

撮影距離 0.7m (Focus-Shift Shift)

撮影距離 0.7m で、フォーカスシフト分を手動で補正する、フォーカスシフト・シフト(命名)を試してみました。
※説明しよう! フォーカスシフト・シフトとは、二重像を合わせてから、ピントリングを少し近距離側(横位置:左側 / 縦位置:下側)に回したり、少し脊を反らして後ピンを無理やり補正する事である!

F1.4

F4

F8

  • F1.4 では、当然ながらかなりの前ピンとなり、ピンボケしています
  • F4 では、0 の線のコントラストが高く、正常です
  • F8 では、0 の線のコントラストが高く、正常です

F1.4 は何もせずともピントが合っていたので、フォーカスシフト・シフトすれば勿論ピントが外れます。
F4 と F8 では、後ろにズレていたピントを手前に持ってくる事ができて、概ねジャスピンになりました

フォーカスシフト・シフトで調整する量は、ちょこ、くらいです。 クイッ、というくらいに調整すると、前ピンになります。

まとめ

Summilux-M 35mm F1.4 ASPH. (11874 - non FLE) では、フォーカスシフトが発生します。 それが顕著になるのは 1.2m 程度より近い近接撮影時です。 シフトする方向は、撮影距離と絞り値によってまちまちです。

個人的な感想

ここから先は僕の主観ですが、撮影距離 1.2m で絞り F1.4 の時の前ピンは、等倍以外の鑑賞では殆ど気になりませんでした。 こちらに実際のサイズの画像を UP しました(自室なので写っちゃいけない物のみ修正済み)が、少なくとも PC モニタやスマートフォンで見る分には、言われなければ気付かないレベルではないでしょうか。

また、撮影距離 0.7m で絞った場合には、常にフォーカスシフト・シフトする事で対応が可能です。

このレンズの使用用途は、手持ちでの人物撮影が殆どなので、撮影者・モデル共に完全に静止した状態は基本的に難しく、この程度のフォーカスシフトならば運用上は誤差の範囲内という認識です。

作例

最後に、M8 で撮影した作例を何枚か載せます。 絞り値はメモ等していた訳では無いですが、大体これくらいだったと思います。


Leica M8 + Summilux-M 35mm F1.4 ASPH. (11874 - non FLE)
F1.4
SS 1/125
朱都あきらさん


Leica M8 + Summilux-M 35mm F1.4 ASPH. (11874 - non FLE)
F1.4
SS 1/125
朱都あきらさん


Leica M8 + Summilux-M 35mm F1.4 ASPH. (11874 - non FLE)
F5.6
SS 1/180
紗雪さん


Leica M8 + Summilux-M 35mm F1.4 ASPH. (11874 - non FLE)
F5.6
SS 1/180
紗雪さん