たまに見かける言説「ライカは無料(買った時と同額以上に売れる)」ですが、クロカワさんがX(旧Twitter)で一石を投じたことで、界隈がザワザワしているようです。
個人的にも気にしていたトピックなので、私見をつれづれと述べてみようと思います。いつもよりも殴り書きなので、ツッコミ歓迎です。

まず、「ライカは無料」というワードは、大きく二つに分けられると思っています。

  • カメクラがネタ混じりに言っている
  • 投資クラスタが投資対象として言っている

前者は目が合うと沼に引きずり込まれる恐れがあるので、近づいてはいけませんよ。

後者についてが本稿の対象となります。「カメラも(趣味・実用で)買うし(カメラ以外に)投資もする」というようにミックスされてるケースがあるので分かりづらいのですが、「ライカは無料」とは、カメラの話じゃなくて投資視点の話だと思います。なので、純粋にカメラ趣味の話だと信じて行動すると痛い目を見る可能性がある事に注意が必要です。

無料とは

念の為に、無料の定義について確認しておきましょう。goo国語辞書で調べてみました。

む‐りょう〔‐レウ〕【無料】 の解説
1 料金を払わなくてよいこと。無代 (むだい) 。ただ。「入場—」「—券」⇔有料。
2 人のために何かしてもお金を受け取らないこと。「—奉仕」
無料(むりょう)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書より引用

個人間の譲渡等を除けば、料金を払わずにライカを入手できる訳はありませんから、やはり「ライカは無料」はありえない事です。

では、「実質無料」はどうでしょうか?例えば、「ライカを100万円で買ったら、後になって100万円で売れた」であれば、「実質無料」であると言って良いでしょう。投資クラスタが言っているのはこの事ですね。

投資とは

ところで、投資とは何でしょうか?色々な方向からの説明ができますが、誤解を恐れずにざっくり言うと、「安い時に買って値上がったら売ってお金を増やすこと」と言えるでしょう。

※なお、念の為の補足ですが、本稿に投資自体をネガティブに論じる目的はありません。バリバリの投資初心者ですが今年から新NISAはじめました

どんな条件で「ライカは実質無料」になるのか?

では、「買った金額と同額以上で売れるライカ」とは、どんなライカなのでしょうか?まずは、M型ライカの新品ボディで見てみましょう。

Leica M10

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ライカM10が発売されたのは2017年1月28日で、希望小売価格は税込91万8,000円です(「ライカM10」が1月28日に発売 - デジカメ Watchより)。ライカは小売店の値引き額は無いかあっても僅かなので、新品を購入するなら概ねこの価格であると考えて良いでしょう。
一方で、現在のマップカメラの買い取り価格を見てみると、ブラッククロームが53万円、シルバークロームが49万5千円と表示されました。

Leica M11

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ライカM11も見てみましょう。2022年1月21日の発売で118万8,000円で、(フィルムライカ並みに軽くなった「ライカM11」 - デジカメ Watchより)マップカメラの買い取り価格はブラックペイントが80万円、シルバークロームが85万円です。

M10もM11も「無料」と呼ぶには買い取り価格が足りないようです。「M11なら差額は30万円程度だから実質無料では?」とか思ったあなたは冷静になってください。30万円は実質でも無料ではありません。「30万円でライカを使えるなら安いのでは?」と思ったあなたも落ち着いてください。シンプルに考えるために今はそういう話をしていません。

「メルカリ等で個人売買すれば、もう少し価格が上がるのでは?」と考えた人は、アレモコレモさんの以下ポストを見て、それからゆっくり呼吸をしてください。そう、吸ってー吐いてー。輸送事故で損するのは購入者だけど、販売者として当事者になったらどうしましょう?知らんぷり?


オールドレンズの場合

ボディだけでなく、レンズも見ていきましょう。

Hektor 7.3cm F1.9
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程度極上メンテ済みの個体(ブラックニッケル)を、2017年6月に23万円ほどで購入しました。マップカメラの買い取り価格はと言うと……。29万円です。これは確かに無料以上になったライカレンズと言えますね。

Summarit 5cm F1.5(L)
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やや拭き傷クモリありの個体を、2011年8月に5万円で購入しました。マップカメラの買い取り価格は前期モデルなので2万9,700円でした。意外とお安いですね。

Summicron 50mm F2(2nd)
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程度上の個体を2014年春に15万円程で購入しました。マップカメラの買い取り価格は15万円です。これは正に実質無料のライカレンズですね。

ここまでのまとめ

「ライカは実質無料」と言えるのは一部のオールドレンズくらいで、少なくともデジタルのボディは買い取り価格が購入価格の同額以上になるケースは無いように思います。あるいは、一時期はM10やM9の中古販売価格がかなり下がった時期があったように記憶しているので、もしかしたらそのタイミングで購入していたら、ボディでも実質無料の可能性があるかもしれません。が、今後も再現性があるかと言うとそれは分かりません。

ね?投資でしょ?

投資の説明を「安い時に買って値上がったら売ってお金を増やすこと」と書きました。そして、「ライカが実質無料」になる条件は、「オールドレンズや中古のボディが安い時に購入して値上がったら売る」場合でした。やはり「ライカは(実質)無料」とは、投資の話だったのです!(どーん

そして、投資とは基本的には余ったお金でする物だと考えています。「実質無料だから生活を切り詰めてライカを買おう!」は投資として見ても破綻しているって事ですね。「ライカは(実質)無料」とは、「余ってるお金をタンスにしまっておいても勿体ないから、ライカで投資しようかな!買った時より高く売れるかもしれないし!」という文脈があってこそ成立するのです。

ちなみに、ここまで私が長々と書いてきたことを、クロカワさんが1ポストの半分で簡潔に説明してくれています。というオチを載せてキーボードを置きます。